【REDWING1116】芳香剤臭いブーツを脱臭&先芯抜きカスタム
98年頃の製造と思われる、レッドウィングのペコスブーツ。


ユーズドで入手されたもので、「フラットボックス化したい」というご依頼です。
さらに、もともとの中底がウレタンクッションと合成パルプを貼り合わせたタイプだったため、今回はレザー中底への交換も行います。
特筆すべきはもう一点。
画像では伝わりませんが、実物はかなりニオイがきついです。
前オーナーさんが使用したと思われる芳香剤なのか、ココナッツ系の甘い香りがブーツから強く発せられていて、拭いても拭いても取れないとのこと。
修理ではボトム周りを全交換するので、せっかくならアッパーの脱臭も試してみることにしました。
今回は「ニオイに特化したアプローチ」ということで、水を使ったクリーニングではなく、「粉」を使ったクリーニングを試します。
まずは解体
ヒールパーツ、アウトソール、ウェルト、中底など、ボトムを構成するパーツを順番に解体していきます。
先芯はウェルトを外すことで、ようやくアクセスできるようになります。
取り外した中底から型を採り、ショルダーレザーで作り直します。



可動域にあたる肩部分の革は、繊維が動きやすく屈曲性に優れているため、中底の素材としても適しています。
ウレタン+合成パルプの中底は汗を吸いにくく、蒸れやすいのが難点。
一方、ショルダーレザーの中底なら汗を吸収してくれるため、よりサラッとした履き心地が期待できます。
タンニン由来の成分による抗菌性も、革中底の嬉しいメリットです。
オリジナルの中底は、釘穴を起点にボロボロと劣化していました。
ユーズドブーツのレストアでは、見た目だけでなく、こうした機能面もしっかりチェックしてあげる必要があります。
続いて脱臭処置

アッパーだけの状態になったら、全体にタルク(ベビーパウダー)をすり込んでいきます。
革に害のない粉状のものであれば、必ずしもタルクである必要はありません。
今回の目的は、革の繊維に吸着しているニオイ物質を粉体に移し、取り除くこと。


製靴の現場では、木型を抜く際の滑りをよくするためにタルクを使うこともあります。
あせも対策にもGOOD。
その後、箱の中にブーツ本体と紙を詰め込み、密閉します。

空間を制限することで、内部の脱臭効果を高める狙いです。
この状態でしばらく放置。
その後、エアブローでタルクをしっかり吹き飛ばし、最後に軽く水拭きします。
完成がこちら




・レザーソール(踏まず丸コバ仕立て)
・レザー中底へ交換
・リウェルト(先芯抜きオプション)
・ハーフラバー(Vibram アルペ)
・ブロケットヒール(キューバンヒール)
シンプルな構成にすることで、ペコスブーツが持つ朴訥とした雰囲気をブラッシュアップしました。
いわゆる「ランチデュード」的な、映画やファッションとして演出された派手さではなく、メキシコのバッカルー文化に通じる実用本位の飾り気のないスタイルをイメージしています。




つま先が潰れてくれば、さらに野生的なスタイリングへとエイジングしていくことでしょう。
そして肝心の脱臭効果。
最初のニオイを「10」とするなら、今回は「3~4」くらいまでマシになった、という印象です。
検知器があるわけではないので完全に主観ですが、お客様と一緒に確認して、「これなら履けるよね」というレベルまで改善できました。
ひとまず及第点といったところでしょう。
古いブーツもリモデルを経て、めでたく再び前線復帰。
皆さんの眠っているコレクションも、もう一度現役に復帰させてみませんか。
YUMA.

コメント