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Charcoal burnerのディテール【Relaxing Worker Sandals】

苛烈なる労働者に許された束の間の休息。

重たいブーツを脱ぎ去って解放のそよ風を感じて欲しい。

そんな思いから展開したRelaxing Worker Sandals。


第二弾となる「Charcoal burner」の登場です。





Charcoal burnerとは材木を燻し炭を作る職人を指します。

木炭は古来より燃料として人類史を支えてきた重要な存在です。

酸素を絞った特別な炉の中で薪を蒸し焼きにすることで作り出されます。

水・クレオソート・タールなどの不要な成分を削ぎ落とし、純粋なるカーボンを生むことで精錬対象(金属やガラスなど)に不純物を混入させることのない完璧な熱源となるのです。



(引用:Bewdley Museum from an image in the Stone Collection,Birmingham Central Library)


第一弾の「Lumberjack」同様、現代ではあまり馴染みのない職業かもしれませんがロマンと妄想にブレーキをかけることなく具現化しました。


まずは何と言ってもアッパーの素材です。

インド原皮の極厚山羊革"ダシェラゴート"を採用していますが無論タダもんじゃございません。

通常山羊革といえば薄くてパリパリとした皺が入る質感を想起しますが、此度の素材は約3mmもあり非常に肉厚な山羊革を採用しています。





なぜ山羊革でありながらここまでの地厚が出せるのか?

それは特殊な出自に起因します。


山羊は比較的成長が早く若い月齢であっても屠殺の対象となります。

そのため表皮の薄い個体も市場には多く出回っています。


しかし今回採用したダシェラゴートはインド三大祭りの一つ”Dussehra(ダシェラ)”で捧げられた個体を対象に鞣されています。

祭りに備え長い飼育期間を経た山羊は、しなやかながらぶ厚い皮革組織を有します。

さらに国内のフィニッシャー(皮革の二次加工業者。原皮をベースに様々なアレンジングを施す作家性の高い加工業)によってシュリンク加工を施されるため、ただでさえ厚い原皮はさらに密度を高めます。そうして完成したのが類の見ない極厚の山羊革”ダシェラゴート”なのです。


ちなみにDussehraはヒンドゥー教の英雄・ラーマ王子が悪魔ラーヴァナを打ち倒したことを祝うお祭りです。

祭りではラーヴァナ(悪魔)を模した巨大な人形に花火を打ち込み焼き尽くすことで、善が悪に打ち勝つ姿を祝福します。

つまり火に愛された祭りなのです。


そこで同じく火と共にある”Charcoal burner”に「ダシェラゴート」を採用することに決めました。


アッパーカラーはただ一色。

たとえ煤を浴びても気にする必要はありません。

このサンダルを履く人が本当に炭焼きである可能性はとてつもなく低いでしょうが、そのスタイリングには根拠を持たせることが重要だと信じています。





さらに形状記憶(革の可塑性)に期待できるフルベジタブルタンニンレザーの利点を活かし、H.ARAIのアイコンである「わらじラスト」を覚えさせています。

前作のLumberjack同様、本来ハンドソーンでしか味わえなかった荒井の手製靴木型のポテンシャルに触れるきっかけになることでしょう。






ソールはビブラムにおいては珍しい発泡ゴムの”COLIBRI Sole”

肉厚なソールは無数の気泡をたたえることで優れた柔軟性とクッション性を有します。

往々にして履き心地(屈曲性・軽量性など)を優先すれば耐久性が落ちてしまいがちですが、COLIBRI SoleはVIBRAMのハイクラスラバー『ガムライト』を採用することで相反するそれらの要素を両立しています。

気泡が生み出す微細なコバの表情をお楽しみください。





さらに特筆すべきはその独特なカラーリング。

無彩色のアッシュカラー(灰色)こそ、炭焼きのストイックな世界を象徴しています。

フットベッドやアウトソール、そして底縫いステッチもグレーで揃え全体的なコンビネーションを高めています。





コシのあるアッパー素材と、高級ガムライトの軽快さに秀でたソールの織りなすコンフォータブルなレザーサンダルです。

ハードに履き倒すLumberjackとは対をなすフレックスな使い勝手をご体験あれ。


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