1976年刊行されたMADE IN USA-2。
かつて日本におけるアメカジ文化啓蒙のバイブルとして伝説的存在となっている雑誌がありました。
今ではプレミア化してしまって、私は現物こそ拝んだことはありませんがその表紙のREDWINGが214だということは皆さま先刻ご承知のこと。
このたび75年4月製造の214を入手しましたので以下の通りメンテしました。
・カビ除去クリーニング
・右足羽根やぶれ補強
・ソール貼り替え
羽根のやぶれはまずハトメを外して縫い目を解きます。
ここでゴムのりを使って断面を仮付けしとくとあとで楽。
解体したら内部に芯材を仕込み。カバンの持ち手に使うような引っ張りに強くフレックスに曲がる芯材を採用。
紐を締め上げる負荷に耐えつつ羽根の開閉を妨げないちょうどいい物性です。
再縫合したらクラックをまたぐようにミシンでタタキます。
革を当てるより自然かつ補修痕がドラマチックでもあるのでタタキ補強の方が好みです。
(ハトメがつくとステッチが下にレイヤーされるので見た目の馴染みがよくなります)
ソールはDr.Soleのパイナップルを採用。
比重の低い発泡ゴム素材のユニットソールで、釘を一本も使わずに底付けが可能なタイプ。
マテリアルもコンストラクションもかなり軽量な部類に入ります。
たかが釘と思われるかも知れませんが、金属パーツは布や革よりずっと重く、多く集まればそこそこの重量となります。
少なくとも214が売れ線モデルであった70年代のカタログにおいて、”Nail-Less”をスペックに明記するくらいには重要な特徴であったはず。(それ以前のブーツコンストラクションとして主流だったネイルダウンは、履き心地が硬かったため”Nail-Less”が一種の宣伝文句になったと思われます。釘なしの仕立てであることが
快適性の担保になったのでしょう)
パイナップルソールはカーキの色味がヴィンテージ然としていて、古いペアに装着しても違和感なくハマるところが高得点。
(LightningArchives 「VINTAGE RED WING」より引用:株式会社ヘリテージ発行)
さらにヒールのアゴがハス(傾斜)になっているところもかつてのREDWING863のような、現代ではマイナーな独特のシルエットになる点も見逃せません。
ツウ好みのDr.Soleシリーズの中でもさらに玄人向けであるパイナップルソール。
肩肘張らない大人の脱力カスタムとしてチャレンジしてみてはいかが?
カビ除去クリーニングの仕上げはモゥブレイのデリケートクリームと青瓶のニュートラル。
「隠さず、むしろ活かす」というシンプルなレザーケア哲学をひしひしと感じる。私物はもっぱらこのコンボで仕上げています。
ヴィンテージスタイルやエイジング文化との相性が最高のクリームです。
YUMA.
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