ランバージャック(手挽きノコギリを使う古風な木こり)御用達のスパイク鋲付きロガーブーツ。
数あるワークブーツの中でも専門スペックに振り切ったガチンコのワンペアです。
日常の動線がほぼ舗装路で構成されている大都会・TOKYOでは、流石にこのスパイク群は街履きに不向きすぎるので、普段履きできるように手を加えていきましょう。
以前のブログでも同様の事例がありましたが、その時はソール周りを全て作り変える方法を採用しました。
ところが今回はデッドストックかつレザーソールのポテンシャルが非常に高かったので「交換するの勿体無いですね」という話になり。
なんとか純正を活かすやり方でリモデルできないか考えてみました。
「スパイクが邪魔なだけだから、全部抜いて穴ボコ埋めちゃおう!」
実にシンプルな結論に至り作業開始。
ただ言葉で言うほど簡単ではなかった。
(①ニッパーの手前でスパイクの根元に隙間をこじ開ける)
(②こじ開けた隙間に切っ先を突っ込みしっかりつかむ)
(③テコの力で引き抜く)
(2種類のスパイクが組み合わせて打ち込んである)
まずスパイクを全部抜くんですが、今回は再利用前提ですのでソール本体に傷をつけないように工具を扱う必要があります。
だが極太な根っこが打ち込まれているので生半な力じゃてんで抜けない。さすがのロガースペック。そりゃ簡単に抜けたら木から落っこちて死んでしまいます。安心と信頼のHunkidori。
残念ながら表面にいくつか引っ掻き傷がついてしまったものの、どうにかこうにか全部抜けました。
さぁ、スパイクを全て抜いたレザーソールは穴ボコだらけの蓮根状態になります。
このままにしとくわけにはいかないのでフィラー(詰め物)の登場です。
色々考えて結局ウッドペースにしました。
練りコルクも候補でしたが、屈曲と摩擦と荷重のかかるアウトソールに用いる以上、ボロボロ崩れてしまうコルクでは荷が勝ちすぎると判断しました。
ウッドペースはカウボーイブーツや東欧系革靴のソール固定にも使われていたりするのでイケるはず。
てなことでガンガン打ち込みます。
スパイクは内部まで貫通していないので、ペースの頭は中底にぶつかります。
あらかじめ先っちょにボンドを塗って固定しましょう。
穴径より若干太いペースを選んでいるのでボンド塗らなくても抜けてこないのですが、歩くとレザーソールがしなるのでペースが少しずつ飛び出してくる恐れがあります。
保険として木工ボンドで固めます。
埋め終わったらはみ出したペースをトリミングします。
その後レザーソールとペースにオイルとワックスを塗り込み美観と耐久性を向上させます。
ヒールのトップリフトはコンチコンタクトヒールを採用しました。
流石にレザーリフトだとあっという間に削れてしまいますし、グリップにも寄与するパーツです。
確実性を優先させました。
ギザギザのトレッドがラギッドな気分を盛り上げてくれて案外悪くないでしょ。
木こりとしての業務用スペックはデチューンしましたが、普段履きなら使いやすいでしょう。
珍しい修理内容はやってる時も、ブログ書いてる時も楽しいです。
いつもご依頼ありがとうございます!
YUMA.
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